「父親がハゲているから、自分もハゲる運命だ」「白髪の人はハゲないっていうから、きっと大丈夫」など、薄毛に関するウワサには、実にいろいろなものがある。当たり前だが、誰にでも、「自分はハゲたくない」という強い思いがあるからなのだろう。
さて、ウワサは本当なのだろうか。科学的に検証してみたい。
「白髪の人はハゲない」の真実
まず、この問題から。結論から言うと、「白髪の人はハゲない」は間違いだ。
事実、白髪で若くして薄毛の人はいる。毛根には髪の毛を作る毛母細胞と、黒色のメラニン色素を作る細胞、メラノサイトがある。白髪の原因は、何らかの原因でメラノサイトの機能が停まってしまったり、低下したりして、メラニン色素が作られなくなるために起こる一方、毛母細胞の分裂が停まれば、髪の毛は作られなくなる。薄毛と白髪に関係する2つの細胞は別々のもので、特に関係はないのだ。
白髪は皮膚の色に近く、単に、白髪だと髪の毛が薄いのが目立たないということが、「白髪の人はハゲない」と言われることにつながったのかもしれない。
海藻を食べれば薄毛にならない?
さて、続いては、ワカメ、コンブなどの海藻類のお話。女性は特に、小さいころお母さんから言われたことがあるのではないだろうか。「髪の毛がキレイになるから、ワカメやコンブをたくさん食べなさい」と。
しかし、残念ながら、髪の毛がキレイになるというウワサも含めて、海藻類を食べると薄毛にならないとか、発毛効果があるとか、裏付けはない。
ただ、海藻類はミネラル成分が豊富で、ミネラルの一部にはメラノサイトの働きを活発にする効果があり、髪の毛の黒い色を作るメラニン色素への影響はあるようだ。また、体に良い食べ物なので、髪を含めた全身の健康維持のためには欠かせないものではある。
お父さんが薄毛だからといって諦めないこと
薄毛は遺伝だから仕方のないことという観点は、現代においては、間違いだ。「現代においては」と前置きがあるのは、薄毛になるかどうかは、やはり遺伝的要素が強いからだ。
確かに、お父さんが薄毛の場合は、息子も薄毛になる確率が高い。しかし、薄毛に関する様々な研究が進み、不規則な生活習慣を見直したり、頭皮ケアなどの手入れ次第で進行を遅らせることが可能となった。
遺伝子検査によって、男性だけではなく女性の薄毛や抜け毛などの原因もある程度、特定することが可能となっているほどだ。
薄毛予防 自分でできることは2つ
薄毛の原因と言われているものには大きく分けて4つある。「男性ホルモンの影響」「遺伝」「食事・生活習慣」「精神的ストレス」だ。
ホルモンや遺伝に関しては、自分ではどうすることもできないが、生活習慣やストレスであれば、自分でかなりの部分、コントロールできるのではないだろうか。体の成長と同じで髪の毛の成長にも食事の栄養バランスは必要だ。特に、ビタミン、ミネラルには気を配りたい。
不規則な生活も髪の成長を妨げる。さらに、心身に悪影響を及ぼすストレスは、髪の毛にとっても同じことだ。ストレスは自律神経やホルモンバランスを乱す。それが原因で血流が悪化すると、毛根に栄養分を十分運べないのだ。薄毛にならないために、自分でできる対策からまずは始めたい。