近頃は天気予報よりも先に頭皮で季節の変わり目を感じるようになった──。
昼夜の寒暖差が激しいこの時期、頭頂部に冷えを感じる中高年男性の悩みをズバッと解決してくれるのは、秋津医院(東京都品川区)を開業し、「今すぐできる!長生きの新ルール34」(学研パブリッシング)などの著書を持つ、何でも解決スーパードクターこと、秋津壽男院長だ。どちらの選択がハゲを回避できるのか? 究極の二者択一は医食同源、食事編から始めよう。
【1】昼食には「ワカメうどん」と「激辛担々麺」のどっちを食べる?
ワカメ、コンブ、ヒジキなど海藻類を食べると毛が濃くなりそうですが、実際にはほとんど効果はありません。黒々とした見た目のイメージが先行してしまったようですが、どうせ食べるのならば、同じ海産物でもカキ、ホヤ、スルメなどがいい。豊富に含まれた亜鉛分が育毛に非常に効果があります。反対に、お勧めできないのが激辛担々麺です。刺激物をとりすぎると髪の毛が抜けるマイナス効果もあるようです」
過剰な刺激は頭皮には禁物だ。
【2】おやつには「ゴマだんご」と「きな粉だんご」のどっちを選ぶ?
ゴマにはセサミン、きな粉には大豆、どちらにもいい成分が入っているので、非常に微妙な選択です。とはいえ、ともに直接、髪の毛に影響するほどの効果はありません。あえて言えば、大豆のイソフラボンは女性ホルモンに近いので、髪の毛を生やしてくれる可能性ありです」
甘味が苦手な人は、きな粉牛乳、きな粉ヨーグルトも試す価値アリ。
となれば、
【3】御飯のおかずも「豆腐」と「野菜」のどっちがいい?
「おかずにはビタミンを含む野菜よりも、女性ホルモン作用として大豆系の豆腐を選択したい」
イソフラボンをとるのなら他にも納豆、枝豆、味噌汁などもお勧めだ。
食後の外出は
【4】帽子を「かぶる」か「かぶらない」ほうがいいのか?
「そもそも髪の毛は頭皮が雨で濡れたり、紫外線を浴びたりするのを防ぐために生えており、ある程度の紫外線はいい刺激にもなるのです。反対に、帽子をかぶって頭が蒸れるのは血行が悪くなり、頭皮にダメージを与えますので、避けたいところです。多少の日焼けぐらいなら、帽子はかぶらないことをお勧めします」
ガードマン、バイク運転手などヘルメット要着用の職業は「換気」を怠らないよう注意したい。
【5】頭皮マッサージは「叩く」か「揉む」か?
「マッサージ自体は悪くありません。大切なのは、毛穴付近の頭皮の血行をよくすることです。頭皮が頭蓋骨にへばりついている状態だと血行がよくないのですが、タワシのようなものでポンポン叩いてもあまり意味がない。頭皮を揉んで緩めることが非常に効果ありですよ」
過ぎたるはなお及ばざるがごとし。力任せに頭を叩くのはかえって頭皮を傷つけるだけである。
では、
【6】シャンプーは「1度だけ」か「2度洗いする」か?
「最近はタモリや福山雅治など、お風呂でシャンプーを使わない人が増えてきており、シャンプーのしすぎはよくないと言われています。毛根の脇にある皮脂腺から出る脂分は頭皮のツヤ、健康を保つ働きもあるのです。実はシャンプーは汚れを取るついでに、このいい脂も取ってしまう。よけいな脂とゴミは落としてもいいですが、2度洗いで大事な脂まで落としすぎてしまうのはよくない。シャンプーする時には、熱いお湯ではなく、ぬるま湯で洗うこともお勧めします」
となると洗髪のしかたも気になるが、
【7】「ブラシでごしごし」と「指でサラリ」のどっち?
「毛穴が詰まっていると発毛に害があるため必要以上にきれいにしないといけない、と思いがちです。しかし、これは実際にはあまり根拠のない話です。そもそも頭皮の汚れはどこからきているかといえば、自分の毛穴が分泌した脂と整髪料などです。必要以上に洗髪ブラシでごしごし洗うよりも、指でさらっとよけいなものだけ落とすのが最も毛根に優しいのです。それにブラシでこすると残った毛まで引き抜いてしまうこともありますので、要注意です」
風呂上がりに、
【8】髪を乾かすのは「ドライヤー」か「タオル」か?
「女子高生など、ドライヤーを使いすぎると髪の毛の先が茶色になり、枝毛になってしまうことがありますよね。ドライヤーが髪の毛を傷めることは間違いありません。ですから、乾かす場合はタオルがいいでしょう。もちろん、ごしごしこするのは頭皮によくない。吸水能力の高いタオルでサッとふき取るのが一番です」
乾いた髪のセットは、
【9】「くし」と「ブラシ」のどっちを使う?
「基本的に髪の毛は触っていいですが、頭皮にはあまり強い刺激を与えないことが大事です。どちらかといえば、ブラシよりもくしのほうが頭皮にゴリゴリ当たるので、ブラシがいいでしょう。ちなみに毛染めとパーマは、どちらも毛髪と頭皮にダメージを与えるので、どちらもNGです」
頭皮は思った以上にデリケートなのだ。
【10】髪形は、「いつも同じ」か「分け目を変える」のか?
「正解は髪形を変える、です。分け目というのは髪の毛を分ける時に変に力がかかっている。そのため、やはり分け目から抜け毛が目立ってきます。最近は男の人でも髪の毛をポニーテールのように束ねている人が増えていますが、どうしても生え際が後退してきます。いつもは7:3分けの髪を6:4に変える。イメチェンで分け目を反対にするのもお勧めです」
毎度同じルーティーンはラグビー日本代表の五郎丸だけで十分。こと髪形にはいつもと違う刺激が必要なのだ。
頭皮に栄養を運ぶのは血液だが、運動するなら、
【11】「ストレッチ」と「逆立ち」のどっちが効果的?
「倒立して頭に血が上っても頭の中の血管に血が行くだけで頭皮の血流がよくなるかは微妙です。頭を床につけての三角倒立は絶対によくありません。むしろ肩こり体操など、肩回りのストレッチをしてコリを取り、首から上の血行をよくするほうがいいでしょう」
常に、よどみない血流を心がけることが大切だ。
続いて、どちらも抜け毛の2悪と言われるのが飲酒と喫煙だが、
【12】「お酒の飲みすぎ」と「タバコの吸いすぎ」ではどっちが悪い?
「お酒を飲むと血行がよくなり、肌が赤くなります。が、これが髪の毛にプラスに働くかどうかは微妙なところです。反対にタバコを吸うと、血管をキュッと縮める作用があります。つまり、血行が悪くなるので絶対によくない。どちらかといえば、タバコのほうがよくないでしょう」
ヘアケア生活の最後は、現代病のストレスについて。
【13】「便秘」と「睡眠不足」は、どっちが悪影響を与える?
「便秘と抜け毛には直接的な関係はありません。反対に睡眠が足りていないと免疫力も体力も足りなくなるし、何よりストレスにもつながる。それに、寝不足のまま起きて頭をボリボリかく行為もよくないですね」
【14】「性欲旺盛」か、それとも「禁欲的」に生きるべきか?
「昔からハゲは精力があると言いますが、これには一理あります。男性ホルモンは基本的に髪の毛がハゲる方向に働く作用があるからです。もちろん、ハゲだからそうだというわけではなく、男性ホルモンの多い人は、その影響で、放っておいても髪の毛が薄くなるということです」
むしろハゲてこそ男、と開き直るのも究極の選択かも。続いて体形は、
【15】「デブ」か「ヤセ」か?
「これも男性ホルモンに関する問題です。基本的に太っているタイプは愛人を抱えるなど精力旺盛で、脳梗塞、心筋梗塞になりやすく、頭髪もハゲる傾向にあります。一方、痩せ型タイプは胃潰瘍など胃腸を悪くしますが、髪の毛は抜けずに白髪になります。それぞれホルモンの活性が異なるわけです」
脱毛といえば気になるのが遺伝である。
【16】「父が薄毛」と「祖父が薄毛」。影響が及ぶのははたして‥‥。
「ハゲ、薄毛には確実に遺伝が関係します。顔つきなどはX遺伝子で祖父や祖母からの隔世遺伝もありますが、男性機能、ホルモンは父親のY遺伝子の影響が強い。すなわち父親が薄ければ、そのまま直接遺伝する可能性が高いのです」
それでも諦めきれないという人は、
【17】「塗る薬」と「飲む薬」のどちらに頼るべきか?
「病院でも塗るタイプの育毛剤を処方しているケースがありますが、むしろ『プロペシア』に代表される飲み薬のほうが効果ありです。実際、医局で5年ほど処方したところ、およそ4人中1人はものすごく効果があり、2人はそこそこ、残り1人はあまり効かなかった、という結果になっています。ただし、効果があるのは男性型ホルモンに影響される、いわゆるM字形ハゲタイプだけで、全体的に薄くなっていくタイプにはあまり効果がありません」
3カ月ほどお試しで効果を確かめるのがお勧めだという。
「プロペシアは男性ホルモンを抑えて抜け毛を防ぐ仕組みのため、副作用としてEDになる可能性もあります。もちろん効き目が違うため、余裕があれば(塗りと飲みの)2つを併用してもかまいません」
あの時、こっちを選んでいれば‥‥と後悔しないベストな選択で頭皮をいたわり、薄毛に対処すべし!!