抜け毛・薄毛

薄毛の本当の治療方法とは?

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多くの男性が抱える悩みの一つといえば、なんといっても薄毛だろう。社会人男性であれば、一度は気になって本やネットで調べたこともあるはずだ。しかし、毛髪に関する対策や知識は諸説が飛び交い、いったい何を信じればよいのか、疑心暗鬼になっている方も多いのではないか。

そこで、livedoorでは、有名プロスポーツ選手が治療を受けたことでも知られている「自毛植毛手術」の大手アイランドタワークリニックに協力頂き、毛髪の“本当のところ”に迫ってみた。

シリーズ2回目となる今回、取材をさせて頂いたのは、アイランドタワークリニックの院長・井上浩一先生だ。井上先生は2002年米国での自毛植毛研修を経て、アイランドタワークリニックに勤務、2007年医療法人社団萌永会アイランドタワークリニックに院長就任した日本では数少ない自毛植毛の専門医である。

薄毛の治し方

――いきなりですが、薄毛は治療して治るものなのでしょうか?
井上:そうですね、薄毛といっても原因は様々ですし、いくつかの原因が混じりあってることも多々あります。代表的なものとしては、病気や薬が原因となることもありますし、皮脂が多いために湿疹やフケが増えてそれが原因になることもあります。また、毛髪が遺伝的にストレスに弱く、性ホルモンの大きい変化や直接的なストレスによって慢性的な薄毛が誘発されるケースもあります。そのような中でもやはり最も多いのはAGA(男性型脱毛症)ですね。これは遺伝が原因となる薄毛の中でも圧倒的に頻度の高いタイプです。※前回の記事を参照ください。

実際このような薄毛の治療となると、原因が何らかの方法で取り除けるものであれば、治ると言うことが出来ますが、傷跡のような不可逆的変化や遺伝などでは、原因を取り除けませんので、対症療法と言うことになるのが現状です。

――自分がAGAか否かを判別する方法はありますか?
井上:はい、AGAの典型的はケースでは、まず額のM字から進行がはじまり、次につむじが薄くなります。さらに進むとM字の上の部分がつながり、U字になり、つむじも広くなり、そのU字とつながって全体的に薄くなっていくのです。このようなパターンがあれば、ほとんどAGAと考えて良いのかと思います。また、逆に、AGAなら必ず効果のあるプロペシア(*1)という薬がありますが、これを使用しているにもかかわらず、あまり効果がみられないようなら、AGAではないかもしれないといえます。

――AGAは治るとお考えでしょうか?
井上:先ほども出ましたが、遺伝的なものである以上、治るわけではありません。まず、AGAになると通常2年から5年ある髪の成長期が数ヶ月と短くなってしまい、まだ細いうちに髪が抜けるようになります。しかしプロペシアは髪の成長期をある程度伸ばすことができるので、服用すると必ず髪の毛は増えてくるはずです。ただ、服用し続けないと薄毛の進行は再び始まってしまいますし、飲み続けていても1年程度で成長期は終わり、2年で増毛効果は頭打ちとなり、それ以降は毛髪が減るのを防ぐという程度にとどまってしまうようですね。

――では薄毛の治療は何をするのがよいのでしょうか?
井上:薬による治療だけとか外科的な方法だけとかでなく、これらを組み合わせて対処していくことになります。

――外科的な治療というと、何か怖いような気がしますが、実際どのようなものですか?
井上:典型的なAGAであれば、後頭部から側頭部にかけては、AGAの影響がないため、ここより材料を採取して、その採取したものを、薄いところに植え付けていくという比較的単純な手術です。植え付けられた毛髪は、採取部の性質を主に受け継ぐため、薄毛の部位でもAGAの影響なく生え続けることになるというわけです。

――その採取して植え付けるとは具体的にどういうことを行うのでしょうか?
井上:一般的には、後頭部の頭皮を帯状に切り取って、その切り取った頭皮から、移植に用いる毛が1~3本ほどを含んだグラフトというものを切り出して、それを、移植部にあらかじめあけた小さい穴へ挿しいれるという方法で、これはストリップテクニックと呼んでいます。

この操作のうち、医者の仕事は、切って縫って穴をあけるだけという、あまり高度な技術を必要とせず、一定水準の結果を得ることが出来るため、世界中でひろく行われています。反面、グラフト部分だけでなく、不必要な頭皮を切り取り縫い縮めるわけですから、傷跡は大きく、採取可能なグラフトにも限界があるという欠点もあります。

手術を受けられる方からすれば、ちょっと引いちゃうところもあるかもしれませんね。一方で、移植に必要なグラフトだけを、頭皮を切りとることなく、筒状のパンチという器械を使い、一つずつ採取するFUE(*2)という方法があります。これは侵襲の少ない優れた方法ではありますが、良いグラフトを得るには、熟練した高度な技術を必要とするため、医者も気軽に踏み込めない術式といえます。さらに、この難度のため、時間もかかり、一日での最大移植グラフト数も少なくなってしまいます。

――FUEは期待できる手術法と言えるのでしょうか?
井上:十分に期待できる手術法と言えると思います。実際この難度を上げている原因を少なくする試みが世界中でされ始めています。

一言で言えば、機械化です。FUEを難しくしてる最大の原因は、あまり切れないパンチを、手で回転させながら、表皮を切って、採取しようとすると、この時、毛根の角度は圧力によって、大きくゆがみ、毛根を切断してしまうかもしれませんが、ここで電気で高速に回転するよく切れるパンチ、これをパワードパンチと呼んでいますが、これを使えばかなり、そのゆがみも少なくなり、切断率もさがります、さらに、私が考案した陰圧をかけるi‐direct法では、ゆがみもほとんど無く切れ、さらに浅い刃入れでも、グラフトを採取できるようになり、切断率を圧倒的に下げることが出来るようになりました。また一日で手術可能なグラフト数も4000グラフト以上というレベルに達しています。
*1 :プロペシア フィナステリド製剤、米メルク社の日本法人であるMSD社(旧万有製薬)から発売されている。
*2: Follicular Unit Extraction 毛穴単位で採取する手法の総称。

何より知ることが大切
確かに、毛髪の情報は、流れている情報が多すぎて何を信じたらよいのか分からない状態だ。間違った情報や嘘の情報を信じて、せっかくの適切な治療を受ける機会さえも逃していることだってある。一見、まともそうに思えることでも、それが、偏見や想像によるものでなく、しっかりとした科学的根拠に基づくものなのかを吟味し、正しい情報を入手することが大切なのではないだろうか。

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